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もう一度
コヤママサシ


自分の一連の行為を考える。

「写真」や「デザイン」を仕事にしている自分を否定する言葉しか浮かばない。
 しかし、この先も生きてゆく。戸惑いに前にも後ろにもいけない。
「もう一度...」こうする事しか思い浮かばなかった。エゴならエゴと向き合う。



5月7日。仙台市若林区 雨と強風。

通行止めと迂回路が増え、砂埃が遠くも近くもかすめる。
車の中で息苦しく汗が吹き出す。立ち止まらず沿岸部から反対方向に向かう。

しばらく乾いた田んぼの横で強風の音を聞いていた。
沿岸部でもたくさん咲いていた「たんぽぽ」が目に入った。

そこではじめてカメラ持った。
横を部活から帰る5人の子供たちが、見て見ぬ振りをしていた目を思い出す。


1時間が立った頃、近くのフェリー乗り場に向かう。
道路ぞいの見慣れたパチンコ屋、コンビニ、人の動きを見ながら走る。

海に近づくにつれ、ねじれた車が連なる。
工場地帯にさしかかった時、樹にぶら下が
た車が何台も見えた。

大きな建物を鉄の爪で引っ掻きまわしたような光景。


仙台港フェリーターミナル。
海の横には焦げ臭い「船」と下から半分をはぎ取られ歪む工場。
鉄と鉄が擦れ、ギシギシと軋む音が海の音をかき消す。
錆びだした鉄の塊が重なり山となりレールをはぎ取り途切れている。
その横でカモメが強風にのり大きく高く飛んでいる。
虚脱感と眠気に何度もおそわれる。

「俺は何をしている」
「現実を見ている」
 その言葉のくり返しだ。

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