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写真
コヤママサシ
仙台駅から沿岸部へ約15km。
約1,200世帯・人口約13万人。ほぼすべて津波被害に遭った宮城県若林地区。
4月24日。震災から45日目。10,000戸以上がまだ停電とラジオから流れる。
農地と海の砂と木々が混ざる。ふがふがで茶色の大地、重機とヘリコプターの重なる音。
遠近感に違和感のある視界。オイルと掘り起こされた黒く沈殿した土の重いにおい。
大地には無念と悲しみ、怒りが何重にもひしゃげ、「日常」が、あるはずのない場所に突き刺さる。
たくさんの約束や宝物、希望や未来が途切れ、絡まり、錆び始め、太陽と砂ボコリにさらされている。
今、どんな理由があろうと、自分の存在は、何度も剥がされ続けた。
「災害」に向けたカメラは「暴力」だった。
ならばシャッターを押さなければいい。
報道でもフォトジャーナリストでもない自分が、撮影する理由など最初からないのだから。
ため息とファインダーを見る時間が同じくらい重なる。
ここではファインダーを見るということが「冷酷に一部を切りとる」という意味。
部外者は自分ひとり。
問う。
祈る。祈る。祈る。
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