戻る


このサイトについて 1
コヤママサシ


4月24日 名前も知らない沿岸部に立った 愚かな自分は消えません
手にしみ込んだ臭いと 明らかになる事実が積み重なり続けるほど
感じた事のない感情の起伏と事の重大さが 放棄できない体とぶつかり続けました
「ため息」なのか「うめき声」なのか解らない「沈んだ呼吸」が「日常」になりました


そして毎日 写真とそこで書とめた数十ページのノートの破片を見続けました

「なぜ」に続く「言葉」は 混乱から逃れようとする「言い訳」にしか感じませんでした
 たどりつく言葉は「部外者の自分のための都合のいい解釈」でみんな止まっていました
 破けない体から 逃げ出すどころか 心の輪郭をはっきりと認識する日々になりました
 感じた事のない「不安」は未消化のまま 何かの予防線を自分は張ろうとしているのか
 何がしたいのか しようとしてるのか わからない 何もかもが逃避行動に感じました
 ちゅうぶらりんの体は 転がり続けていました

 知らぬ間にこぼれている涙にも違和感だらけでした

そして 右にも左にも 潜り込む事さえできないまま 流れる映像はもう受け止めきれず
ひとりになりました この時期にたくさん見かけた「罪悪感」「無力感」かもしれません
でも「あなたも被災者なんです」という言葉や発言には とうてい納得できませんでした

 今 一個人の被災地の写真と心の小さな破裂など 語るに値しません
 体の真ん中の「塊」が溶けようと 溢れてとまらないものがあろうも
 言葉にするという行為が理由になるなんて思いませんでした
 今まさに 血を流す人々の戦いのまっただ中です 邪魔をするようなことはしたくありません
 でも刻んだ言葉は 悲しみ 個人的な不安表現から どうしても離れる事ができませんでした
 そこに滲む 詩的な表現や「たとえ」異議申し立てなど
 的外れで 被災地の方の心にドロを塗るようなことかもしれない と 自分は感じてもいます

 ただ ただ そこに「なかった事」だけにはしてはいけないと 強い思いも生まれています

個人的に心に記録するという方法もありますが 個人的だが この汚くリアルな感覚と感情が
時間の流れと老化により さらに復興という流儀に流され 自分の中で美化されるのは最悪です
残すなら今 それも あやふやな言葉も含め そのままでなければいけないと思いました

 また この先 無恥のまま 生きて行くのだけは さらに まっぴらごめんです


2011年3月11日 もう 後戻りできない世界に入りました
自分の無恥への警鐘も含め 時系列で そのまま重ねています

日々変化する心では 後で気がつく事がほとんどです
だから 最初と最後 途中と前日では 言葉の向きも 表裏も どんどん変わっています

当たり前の事も言葉にすると「常識」という「思考停止」に隠されない事にも気がつきました


グラフィックデザイナーという職に25年たずさわっています
その職業の中で「今 この写真はどうしたらいいのか」で 全く身動きできなくなりました

 実は写真の中に 泥まみれで擦り傷だらけの家族の子供の写真が2枚ありました
 公開前にある方にすべての写真を見せた時...この写真は出さないほうがいいよ...
 と 言われた瞬間 なぜか すべての写真に対して 自分の中で一本背骨が通りました

 もちろん「ありのまま」「事実」という「表し方」には土足で踏みつけるという 片側の理論があります
 もちろん 支離滅裂な事も解っています
  個人宅の写真があります 車もあります 大切な故郷が壊れています 日常がそこら中ににあります...
 ...ごめんなさい この先はどうしても 今はまだわかりません

 考え続けます 今は 「なかった事」にはしたくありません

レンズを向けるという行為には 消せない意識とスキルがしみ込んだ自分がいて

「直感」という言葉を使って防御しようとする 自分が容赦なく表れる

WEBに落とし込む作業では デザイナーとして計算する いやらしい自分がいました

 職業からは生きる限り どこにも逃げることはできませんでした

「なかった事」など1日もない 自分という存在とその行為から生まれた 写真と言葉
 個人的なかかわりの中のほんの一部の宮城県を公開します

「宮城県仙台市若林区」は 自分が最初に足を踏み入れた場所です
 そこから 迷路の仕組みを確かめるように言葉が重なり続けます
 災害から人災 そして 歴史に刻まれた事故を目の当たりにして
 その度に 言葉も表現も行動も変化する 途中経過のページです


読んでくれてありがとうございます
今 この「行間」を見ていてくれるみなさま
心から感謝します


追記
途中 混乱して 友人や先輩に助けを求め 言葉をたくさんもらって
どうにか 今 向かい合う事で 始まりました ありがとうございます

コヤママサシ:プロフィール
1960年生まれ 埼玉県在住 フリーのグラフィックデザイナー
仕事内容:音楽関連のジャケットを中心に、WEBサイトを制作 写真撮影は90%がライブ撮影

戻る